例のノート発表

engadgetslashdotでも既報の通り、工人舎の、7型ワイド液晶搭載の小型ノートPCの正式発表あったようで。

判明していた以下の仕様に加えて
LCD 7" 800x480
CPU Geode-LX-800@0.9W
RAM 512MB
HDD 40GB
Weight 1.0kg
OS WindowsXP Home
Price 89,800yen

以下が明らかに。
100kg加重対応筐体
ファンレス
SD/MS/MMCスロット
CFスロット
USB 2.0ポートx2
802.11b/g 無線LAN
Bluetooth 2.0+EDR
LANポート
アナログVGA ポート
バッテリ5時間
960g

液晶とCPUを除けば「サブノートには」必要十分のスペックかと。
vaio-uがいい加減がたが来てるので代用に欲しいかも。

変態キーボードなのがちょっと惜しいなぁ。。
漢字キーが数字の1キーと同じ配列って初めて見たよ。
シンプルな英語キーボード版とか出てほしいところ。


普通のノートとして考えてる方には、以下の点に注意。
・DirectX非対応でゲーム関係が全滅?
・800*480の解像度は今となっては「かなり」狭い
・CPUはPentiumの500MHz相当?普通のページでもFlashやちょっと凝ったページは重い。動画も怪しいかも。
ひとまず取り柄は「安いこと」なんだけど、CPU性能や液晶では上を行くスペックを持つ中古のサブノート(VaioUやinterLinkあたり)の価格帯と被っているし、見極めが必要かと。
web上の先行予約が始まってるみたいだけど、ヨドバシとかでも販売するようなので実物触ってみてから考えたほうがよさそう。

以下駄文



どうでもいいけどGeode LXというCPU。
AMDの製品になってるけど、ルーツを辿ると今となっては懐かしいCyrixの忘れ形見、MediaGXの系譜なんだよね。

Cx5x86
 ↓ CyrixがMEMC,Graphic,Sound等を1chip化
MediaGX
 ↓ National Semiconductorが買収
NS Geode
 ↓ AMDが買収
Geode GX
 ↓ AMDが手を加えて省電力、高速化
Geode LX

・Cx5x86前夜
CyrixはTIからスピンアウトしたx86専業のファブレス半導体メーカーだった。
i386ソケット互換ながら、キャッシュメモリを搭載したCx486で一躍(一部で)有名になった。

・Cx5x86
初代Pentiumがようやく市場に出始めた1994年頃、高価だったPentiumに対し、AMDとCyrixがそれぞれAm5x86とCx5x86というx86互換CPUを
intelPentiumの前世代であるi486とソケット互換だったため、i486搭載PCのCPUだけを載せかえるのが(一部まにやの間で)流行していたのだ。
中身はキャッシュ容量を増やして高速化したi486だったAMDのAm5x86は、ある意味素直で載せ換えも容易だった。
一方でCyrixのCx5x86は、内部は64bit化されていたり、当時としては最新技術である予測分岐等を備えた高性能CPUだった反面、i486との互換性が相対的に低く、パフォーマンスは高いがじゃじゃ馬という印象だった。

・MediaGX
PCのような製品において、半導体chipがコストに占める割合は大きい。
CyrixによるMediaGX構想は、CPUに多くの機能を集約して1chip化することで低価格化を図り、当時は将来有望視されていたSTB等をターゲットとして1995年にスタートした。
PCとしてはパフォーマンスが劣るとともに、互換性の問題があり、Casioの小型ノートPC、Fiva10xに採用された事例が挙げられる程度だった。
期待されたSTB自体の市場も尻すぼみだったため、MediaGXが歴史の表舞台に上がることはなかった。

・NSによる吸収合併
その後Cyrixは、Cx6x86というPentium互換プロセッサを発表したが、PentiumIIとAMD-K6のパフォーマンス競争に敗れ、更にPentiumIII/Athlon比肩する設計思想の優秀さで期待されていたJoshuaことCyrixIIIがキャンセルされるなどのマイナスを重ねた末、1997年を以ってNatinal Semiconductor社に吸収合併された。

尚、後にVIAからCyrixIIIなるPentiumIII互換プロセッサが発売されたが、NSから「MediaGXを除くCyrix」を譲り受けたVIAがブランドとして使ったもので、Cyrixの設計系譜とは無縁と言っていい。
IDT Winchip
 ↓ VIAによる買収
VIA CyrixIII
 ↓ EDENファミリ発表と供にブランド変更
VIA C3
EDENファミリとして一部に知られるVIA-C3系プロセッサは、IDT/Centaur によるWinchipシリーズの系譜である。
Winchipも元を正せばキャッシュを改良したi486ベースの設計であり、更なる高速化、SSE命令等マルチメディアの強化による改修が重ねられてはいるものの、基本設計の古さは否めない。
Geode-LXの800という数字は、実クロック500MHzでC3の800MHz相当という意味で付けられたことからも、性能的アドバンテージはGeode-LXにあると思う。(と言ってもPentiumMやCoreシリーズに比べたらどんぐりの背比べだけど)

・NS Geode時代
話が逸れた。
PC用CPUとしての未練を捨てたNSは、MediaGXの資産を組み込み領域で活用する。
PCよりコストに厳しく、PCほど計算能力を要求されない組み込みの世界には、多機能1chipCPUはふさわしい存在といえる。
表に出ない分野なので詳細は判らないが、コンシューマ向けではLinuxベースのNAS製品等に使用されていたらしい。

・AMD Geode時代
2003年、AMDがNSのIA部門を買収した。
Athlon,OpteronでPCからWSの分野で力を付け、次は組み込み分野をターゲットにしたようだ。
従来保持していたMIPS互換のRISC CPUであるAlchemyシリーズを捨てての買収ということで、x86によるフルラインアップを目指したのだろう。
かくして数奇な運命を辿り、Cx5x86コアを持つMediaGXは、Geode-GXとしてかつてのライバルであるAMDの元に辿りついた。
尚、その後AMDはAthlonコアを低消費電力化した製品を、Geode-GXの上位版としてGeode-NXという名で発表している。K7世代のGeode-NXは性能ではGeode-GXを圧倒するが、Geode-GXは機能統合及び消費電力の面ではいまだ優位に立っており、しばらくラインアップから消えることはないと思われる。

・UMPC
2005年、AMDはGeode-GXを改良及び高速化したGeode-LXを発表した。
Pentium-D単体の消費電力が100Wをゆうに越えるご時勢に、同じx86互換CPUとして0.9Wという低消費電力をアピールした。
低消費電力ブームとMSによるOrigami構想を背景として、いまだニッチの域を出ないが、Geode-LXのPC用のCPUとしての採用が始まっていった。
そこに今回の低価格サブノートの発表である。
手軽なweb/メール端末として受け入れられるか、設計の古さ故の性能の低さに切り捨てられるのか。
低消費電力を買われながらパフォーマンスの低さに泣いたTransmeta Cruesoeの前例があるため、前途は明るいとはいえないが、老兵の再挑戦を温かく見守りたいと思っている。

私もPC-9801BX4なるNECのパソコンにCx5x86を搭載し、無理やりWindows95を動かしたりしていたり、Fiva10xに惹かれていたこともあり、感慨深いと供になんとなく縁を感じる製品だったりする。


。。買うかどうかは置いといて。

コメント

  1. 80GB HDDを搭載、軽量ボディ、バッテリ駆動約7時間。モバイルスタイルの新領域を確立NEC VersaP...

    読ませてもらいました。また来ます。

    返信削除
  2. 中古リンク集

    中古パソコン、中古バイク、中古車、中古ギター、中古家具、中古DVDなど。

    返信削除
  3. Cyrix5x86で検索していたら、このページにたどり
    つきました。
    そうですか、そんなPCが発売になっていたとは。
    自宅には、PC6001mkIIとかMSXとかtourboRとかから
    あるので、今あるPCでいいや!と割り切っていたの
    で、今のPCの話題について行けません。

    返信削除
  4. コメント有難うございます。
    結局このPC買ってしまいました。意外にさくさく動作で快適だったりします。
    うちも実家に8bit機やら386ノートやらいろいろ転がっていますよー。
    処分せねばとは思えども。。

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